過去の概要・総評

第114回医師国家試験概要

実施日:2020年2月8日(土)、9日(日)の2日間実施。

1日目

A 9:30~12:15/165分 75問 各論 一般:15問・臨床:60問
(5肢1択:61、5肢2択:9、5肢3択:5)
B 13:35~15:10/95分 50問 必修 一般:25問・臨床:15問・長文(2連問×5):10問
(5肢1択:50)
C 16:00~18:30/150分 75問 総論 一般:35問・臨床:25問・長文(3連問×5):15問
(5肢1択:59、5肢2択:10、5肢3択:5、計算:1)

2日目

D 9:30~12:15/165分 75問 各論 一般:15問・臨床:60問
(5肢1択:62、5肢2択:9、5肢3択:3、計算:1)
E 13:35~15:10/95分 50問 必修 一般:25問・臨床:15問・長文(2連問×5):10問
(5肢1択:50)
F 16:00~18:30/150分 75問 総論 一般:35問・臨床:25問・長文(3連問×5):15問
(5肢1択:59、5肢2択:12、5肢3択:3、計算:1)

第114回医師国家試験 総評

第114回医師国家試験が終了いたしました。受験生の皆さま、2日間大変お疲れ様でした。
2日間400問構成になってから3回目の実施となりましたが、今回は前回113回までと違い、問題数が各日、各ブロックに均等に割り振られており、最後のFブロックで80問以上の問題を解かなければいけなかった前回までと比べると、疲労感という意味では少し楽だったかもしれません。しかしながら、全体の問題数が変わったわけではなく、1ブロック70問以上を常にこなしていかなければならないという点で、気力・体力共に要求される厳しい試験となっています。

まず、過去問をベースとした基本的な問題が大半を占めるという国試のスタンダードな構成に関しては、今回も変化は見られませんでした。一方で、残りの新傾向問題の難易度については年々上昇しており、今回も難問が目立ちました。そのような難問が印象に残りやすいため、実際の難易度以上に「難しい」「解けなかった」という印象を持ちやすくなっているように感じられます。

過去問ベースの問題については、GCSによる意識レベルの評価(E31)や、尿蛋白量を決定する因子でないもの(F23)などのような過去問とほぼ同様の問題、いわゆるプール問題が例年通り出題されました。一方で、毎回のように出題されていた心筋梗塞の2連問・3連問や、梅毒の連問、偽膜性腸炎の問題などが、今回は出題されませんでした。特に心筋梗塞を主役とした問題が出題されなかったのは歴史的とも言え、いわゆる「お決まりのパターン」から少し外れた出題がされているように思われました。また、急性好酸球性肺炎(A33)や、寒冷凝集素症(D36)など、過去に出題があったものの、ごくまれにしか出てこなかった疾患の出題が増えており、中途半端な過去問演習では太刀打ちできなかったのではないでしょうか。

新傾向の難問については、ロコモティブシンドロームの概念(C17)など、平成30年版医師国家試験出題基準(国試ガイドライン)で新規に追加された疾患や近年注目を集めている概念の出題があった一方で、尿道下裂にみられる所見(A57)や、Warthin腫瘍の診断(D61)といった、受験生が確実に押さえておくべき疾患とは言い難い問題も出題されました。common diseaseについての詳しい知識を掘り下げた問題が多かったここ数回とは、少し印象が変わってきているように感じられました。

必修についてはところどころ難問も見られるものの、難易度はそれほど高くなかったといって差し支えないと思われます。

①出題形式 ※第111回までは全500問でしたが、第112回より全400問での集計となります

(1)問題タイプ別の変化
  第114回 第113回 第112回 第111回 第110回
5肢1択 341 337 335 406 418
5肢2択 40 52 55 67 59
5肢3択 16 7 8 21 19
多選択肢問題※ 0 2 0 2 2
計算問題 3 2 2 4 2

※6肢以上の選択肢数の問題。

  • ・6肢以上の多選択肢問題が出題されませんでした。
  • ・5肢3択の出題が112・113回の約2倍出題されました(16問)。
  • ・計算問題は113回から1問増加しました(3問)。
  • ・英語問題は昨年度まで必修でしか出題されませんでした(H30GL必修18-C(診療に必要な一般的な医学英語))が、全文英語(設問もすべて)の問題が必修以外で2問、計3問(A31、D63、E35)、和英混合の問題が1問(F22)出題されました。
  • ・英語問題は4問と過去最多の出題数でした。
  • ・下線部5択の問題が5問出題されました(B14、C53、F47、F57、F70)。
  • ・画像5択の問題が113回の約3倍出題されました(11問)。
  • ・図示問題が113回より2問減少しました(9問)。
  • ・選択肢の内容が文字でも記号でもなく、イラスト(アイコン)で出題された初めての問題がありました(F45)。
  • ・113回と比べて「診断」、「症候・病態」を問う内容が増加傾向、「治療・対応」を問う内容が減少傾向でした。
(2)画像問題数の変化
  第114回 第113回 第112回 第111回 第110回
画像問題数※ 111 101 113 121 123
画像点数 171 156 173 226 215

※別冊冊子に画像が提示された問題。

  • ・画像問題数は、113回(101問)より10問増加し、111問でした。
  • ・画像問題1問あたりの画像点数は113回と同程度でした(114回1.54点、113回1.54点)。
(3)画像点数の変化
  第114回 第113回 第112回 第111回 第110回
頭部CT 3 1 2 2 7
頭部MRI・MRA 5 5 16 12 14
胸部CT 10 12 16 16 19
胸部エックス線 21 12 10 16 15
心電図 5 8 9 9 8
心エコー 7 5 1 6 2
腹部CT 15 15 12 14 8
腹部エックス線 1 7 3 3 1
腹部超音波写真 4 0 1 3 3
消化管内視鏡 7 7 4 2 8
染色標本 12 10 14 27 36
外観 28 22 28 29 16
器具・手技 4 5 5 10 6
その他CT・MRI・エックス線 30 22 22 32 31
その他 19 25 30 45 41
合計 171 156 173 226 215
  • ・画像点数は全体で113回より15点増加しました(114回171点、113回156点)。
  • ・種類ごとの点数は、胸部エックス線写真が9点増加、腹部エックス線写真が6点減少しました。
(4)その他
  • ・時間割の変更がありました。
  • ・「C冊子 別冊No.1(問題6)」に関する正誤表の配布がありました。

②出題科目

(1)内科系
・定番を外した出題
大きな難易度の変化は見られませんでしたが、前述の通り心筋梗塞、梅毒、偽膜性腸炎などを主としたテーマの出題がなかったのは、近年の中では特筆すべき点と思われます。一方で、結核が疑われる患者に行うべき検査(E36)や、AIDS患者の合併症(F66~68)など、変わらず出題されている重要疾患ももちろんあり、基本的な疾患を学習しておく重要性が変わったわけではありません。
・検査学、治療学についての難問
全科目で言えることですが、特に内科系では診断を問う問題以上に、検査学、治療学についての出題で難問が目立ちました。例えばHIV感染症の検査について(C32)や、挙児希望のある関節リウマチの女性に対して妊娠前にあらかじめ中止すべき薬剤(A11)、腎障害の際に減量して投与すべき薬剤(A68)などは、実際に臨床現場でその検査や治療をオーダーしたことがないと難しいでしょう。
・画像、病理の難問
上腸間膜動脈の同定(F25)など、読影の問題も多数出題されましたが、特に今回は病理の問題が目立ちました。胃の正常粘膜における粘膜下層の同定(C25)、細胞診から考える肺癌の組織型(C48)、胃癌で考えられる病理組織像(F69)など、病理の問題が多かったことは、114回の大きな特徴でしょう。
(2)公衆衛生
・難易度は例年並み
日本の薬剤耐性〈AMR〉対策アクションプラン(F3)など、新しい単語も見られたものの、新しい知識については推理で充分に解ける問題も多く、落ち着いて考えれば解答可能なレベルと思われます。
・人口分野
人口問題を重視している傾向は今回も変わらず続きました。前回までは、生命表や人口曲線などかなり専門的な問題が多かった一方で、今回は年齢調整死亡率の計算(C75)など、少ないながらも過去に出題がある問題が出されており、過去問演習が充分であれば正解を目指せるレベルでした。
(3)マイナー
前回に引き続き難化が目立ちました。マイナーは、内科以上に専門的な分野を問われると対策がしにくく要注意と言えるでしょう。前回は検査についての難問が目立ちましたが、今回は掌蹠多汗症(A4)、選択緘黙(A8)、霰粒腫(D2)など、あまり勉強が行き届かないような疾患が多く出題されたように感じられました。
(4)その他の科目
産婦小児の難易度は概ね例年並みですが、胎児推定体重を測定する際に用いるもの(F33)などは臨床経験がなければ難しいでしょう。また、正常分娩の流れを問う問題は定番ではあるものの、今回出題された分娩経過において正常な回旋をしているもの(C52)は、例年よりも一段深い理解が必要とされました。
救急分野の特筆すべき特徴は中毒が多く出題されたことです。一酸化炭素中毒に対して行うべき処置(A51)、カフェイン中毒(C63~65)、クレゾールにばく露された患者に行うべき対応(F39)などが該当しますが、特に後者2つは一般的な知識とは言い難く、かなりの難問と感じられたのではないでしょうか。

③一般問題

例年並みの難易度ではあったものの、新生児の血小板数確認の際に必要な物品(A3)や、S状結腸切除術後に膿瘍形成が最も起こりやすい部位(D5)など、臨床的な検査や外科の問題はやはり得点しにくいと思われます。そのため、急性壊死性膵炎でみられる所見(F28)や、Swan-Ganzカテーテルで測定するもの(F32)などの基本的な問題を確実に押さえていく必要があります。また、後述のように英語問題が目立ち、予防接種記録から推定する受けていない予防接種項目(F22)も実質、英語問題でした。

④臨床問題

・英語問題の出現
英語問題は従来必修のみで出題されていましたが、今回からWPW症候群に合併した不整脈の診断(A31)、乳び胸の診断において測定すべき項目(D63)と、各論でも出題されました。これにより必修で2問までであった英語の問題数が増加していることから、英語の習得に力を入れてきていることがうかがえます。
・臨場感のある連問
総論の連問は、ふらつきを訴える高齢者(C66~68)や、全身倦怠感を訴える高齢者(F60~62)など、今一つ疾患を絞りきれない臨床設定が多く出題されました。実際の患者は、はっきり病名を絞れないケースや、複数の障害を併せ持っているケースが多いため、実臨床を意識したリアルな症例を用意してきているように感じられました。いずれもブロックの終盤に出題されており、臨床文をじっくり読んで考えなければならない問題であるため、時間配分を間違えると解答することが厳しいでしょう。

⑤必修問題

必修は毎年、難易度が注目されます。不規則な生活に伴いふらつきを呈する患者で欠乏が予測される栄養素(E29)など、議論となりそうな問題もありましたが、それらはごく一部で、今回の難易度はそれほど高くなかったと言えそうです。BブロックとEブロックでの難易度の差も大きくなく、精神的にも安定して受験できたのではないかと思います。新生児蘇生においてまず行うべき対応(E27)は、過去に各論臨床で出題された知識であり、「必修は必修」と分けて勉強するのではなく、やはり疾患の網羅的な勉強が大事であるということを改めて感じさせられました。

⑥MECの医師国家試験対策

第113回でもみられた、標準的なレベルの問題の出題割合が増加し、学生を迷わす難解な問題の出題割合が減少する傾向は、第114回においても引き続きみられました。したがって、平易という印象にもなったかと思います。しかし、各論・総論では、むしろ絶対に間違ってはならない問題が7割程度出題されています。相対評価である国試に合格するためには、まずそれらの問題に正解することが不可欠であり、今後の合格基準は高くなっていくことが予想されます。

メックでは長年、以下のような対策を主軸としています。 ①過去問題を利用して、解剖・病態から最新の傾向までの国試対策に必要な医学知識を、疾患ベースで系統立てて丁寧に身につけるための、網羅型の学習。
→Dr.渡の『MEC臓器別講座』をはじめとするMECシリーズ
②症例や選択肢など細かく切り口が変わる出題にも対応できるように、出題者の意図を読み取り、実際の臨床現場の患者さんをイメージしてトレーニングし、応用力を強化。
→Dr.孝志郎の『国試サマライズ』、Dr.佐木の『アクティブ講座/内科』等
③各科専門医による最新事情を交えた、国試に準拠したオリジナル問題を使った演習と、直前期に行う予想講座により、国試で取り上げられるトピックスや出題方法を体感。
→各『メック模試』およびその模擬試験の解説講座、予想シリーズ等

その他にも、学習の進捗を確認するための各種試験と成績表による分析、講座に紐づいた問題演習もできる『MECサーチ』、『メック合格メソッド』と学習状況を個別に管理できる『MEC iチューター』の導入と、様々な取り組みで、国試合格をサポートしています。

絶対に間違ってはならない問題を確実に正解し、国試に合格するには、漏れなく、偏りのない学習をすることが大変重要です。とはいえ、自分自身で学習すべきことをコントロールするのは大変難しいことであり、国試までの限られた期間で、いかに効率的かつ効果的な学習ができるかで、合否が分かれます。
メックでは、国試対策に過不足が出ないよう、「メック合格メソッド」を用いたカリキュラム、テスト、MEC iチューター、グループ講義、勉強会など、一人ひとりに合わせた対策を提案しています。

また、計画的にスケジューリングされた「個人指導」では、苦手分野や定着しない知識に特化したアプローチを行います。既に定着している知識を様々な形で組み合わせ、得点力や臨床的思考力を高めることで、確実に成果を出しています。

メックでは、2020年度より、業界初の成績によるクラス分けと、学習進捗によって異なる教材を使用したプログラムを行い、講師担任制による完全個別カリキュラムも導入することなどで、さらなる成績向上に向け、先進の取り組みで国試を包括的に対策してまいります。
また、多くの外国人訪日を受けて、様々なシーンで英語は必要不可欠となっています。医療・医学教育においても同様で、国試に英語の問題が出題されることは、ごく当たり前のこととなりました。医学英語を強化していくため、主要テキストにおける「英語表記の併記」「英語問題対策講座」なども取り入れてまいります。

2020年2月12日
MEC 医学評価センター国試分析チーム
(メック講師・企画広報課・メックライン)

 

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